認可外保育施設の施設数や利用児童数を調査
認可外保育施設とは、児童福祉法に基づく認可を受けていない保育施設を指します。認証保育所など、自治体独自の保育事業も対象に含まれます(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
こども家庭庁が公表した「令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」では、2025年3月31日時点の施設数や入所児童数、自治体による立入調査、指導状況などが整理されています(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
同調査によると、届出対象の認可外保育施設は全国で20,068か所でした。就学前児童の入所児童数は208,811人です(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
一方、立入調査では、安全確保や災害対策、施設情報の掲示、契約内容の書面交付などが、指導監督基準に適合していない主な項目として挙げられています((3)指導監督基準に適合していない主な項目-p.7)。
この記事では、認可外保育施設の規模や利用実態、立入調査の実施状況、指導で確認された項目を紹介します。
認可外保育施設とは
認可外保育施設は、児童福祉法に基づく認可を受けていない保育施設です(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
「認可外」という名称は制度上の区分を示すものであり、それだけで施設の保育内容や安全性を一律に判断できるものではありません。
今回の調査対象は、都道府県知事、指定都市市長、中核市市長、児童相談所設置市の市長への届出が義務付けられている施設です(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
認可外保育施設には、夜間保育や宿泊保育などを行う「ベビーホテル」も含まれます。原資料では、次のいずれかを常時運営している施設をベビーホテルとしています(<参考1>ベビーホテルについて-p.8)。
- 午後8時以降の保育
- 宿泊を伴う保育
- 一時預かりの子どもが利用児童の半数以上
また、企業主導型保育事業を行う施設は、今回の統計では「事業所内保育施設」に含まれています。そのため、事業所内保育施設の数を、そのまま企業主導型保育事業の施設数とみなすことはできません(<参考2>企業主導型保育事業を行う施設について-p.9)。
届出対象施設は20,068か所
2025年3月31日時点の届出対象施設は、全国で20,068か所でした。前年度の19,971か所から97か所増加しています(認可外保育施設の施設数・入所児童数の推移-p.14)。
施設区分別の内訳は次の通りです(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
| 施設区分 | 施設数 |
| ベビーホテル | 940か所 |
| 事業所内保育施設 | 8,078か所 |
| 認可外の居宅訪問型保育事業 | 7,462か所 |
| その他の認可外保育施設 | 3,588か所 |
| 合計 | 20,068か所 |
事業所内保育施設のうち、院内保育施設は2,673か所でした(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.9)。
施設数は年度によって増減しています。2019年度は19,078か所でしたが、その後は増減を繰り返し、2024年度には20,068か所となっています(認可外保育施設の施設数・入所児童数の推移-p.14)。
区分別に見ると、事業所内保育施設や「その他の認可外保育施設」は近年減少傾向にあります。一方、認可外の居宅訪問型保育事業は、2019年度の5,454か所から2024年度の7,462か所へ増えています(認可外保育施設の施設数・入所児童数の推移-p.14)。
就学前児童の入所児童数は208,811人
届出対象施設の就学前児童の入所児童数は、全国で208,811人でした(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
年齢区分別では、0~2歳児が124,664人、3歳以上の児童が82,636人、年齢不明が1,511人です((2)年齢区分別入所児童数-p.4)。
| 区分 | 入所児童数 |
| 0~2歳児 | 124,664人 |
| 3歳以上 | 82,636人 |
| 年齢不明 | 1,511人 |
| 就学前児童合計 | 208,811人 |
施設区分別では、事業所内保育施設の入所児童数が最も多く、116,742人でした(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
| 施設区分 | 入所児童数 |
| ベビーホテル | 9,880人 |
| 事業所内保育施設 | 116,742人 |
| 認可外の居宅訪問型保育事業 | 8,004人 |
| その他の認可外保育施設 | 74,185人 |
| 合計 | 208,811人 |
このほか、両親が夜間に働いているなどの理由で、8,481人の小学校就学児も認可外保育施設を利用していました(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
就学前児童の入所児童数は、前年度の219,161人から10,350人減少しています。2019年度は243,882人だったため、長期的に見ると減少傾向です(認可外保育施設の施設数・入所児童数の推移-p.14)。
施設数が前年度から増加する一方、入所児童数は減少しており、施設数と利用規模が必ずしも同じ動きをしているわけではありません。
施設数や入所児童数には地域差
施設数や入所児童数は、自治体によって大きく異なります(都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市別認可外保育施設届出対象施設数・入所児童数一覧-p.10)。
都道府県では、東京都が3,552か所、20,448人で、施設数・入所児童数ともに最多でした(都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市別認可外保育施設届出対象施設数・入所児童数一覧-p.10)。
指定都市では、横浜市、大阪市、川崎市、福岡市などに多くの施設があります(都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市別認可外保育施設届出対象施設数・入所児童数一覧-p.10)。
ただし、自治体によって人口規模や保育ニーズ、施設区分の構成、制度の運用方法などが異なります。そのため、施設数や入所児童数を単純に比較する際には注意が必要です。
令和6年度の立入調査実施率は65.3%
自治体による立入調査は、認可外保育施設が、子どもを保育するのにふさわしい内容や環境を確保しているか確認するために行われます(Ⅱ 届出対象施設に対する立入調査の状況-p.5)。
届出が義務付けられている認可外保育施設については、原則として年1回以上の立入調査を行うこととされています。一方、認可外の居宅訪問型保育事業については、年1回以上の集団指導が行われます(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
令和6年度に立入調査を実施した施設は13,104か所でした。2025年3月31日時点の届出対象施設数を分母とした実施率は、全国で65.3%です(2 立入調査結果及び指導状況-p.6)。
| 施設区分 | 施設数 | 立入調査実施施設数 | 実施率 |
| ベビーホテル | 940か所 | 809か所 | 86.1% |
| 事業所内保育施設 | 8,078か所 | 6,816か所 | 84.4% |
| 認可外の居宅訪問型保育事業 | 7,462か所 | 2,675か所 | 35.8% |
| その他の認可外保育施設 | 3,588か所 | 2,804か所 | 78.1% |
| 全施設 | 20,068か所 | 13,104か所 | 65.3% |
ベビーホテルの実施率は86.1%、事業所内保育施設は84.4%でした。一方、認可外の居宅訪問型保育事業は35.8%となっています。
ただし、居宅訪問型保育事業は立入調査とは別に集団指導の対象とされています。立入調査実施率だけで、自治体による指導監督全体の実施状況を判断することはできません。
また、立入調査が実施されていない施設についても、次のような取り組みが行われている場合があります(Ⅱ 届出対象施設に対する立入調査の状況-p.5)。
- 施設から書類の提出を求め、調査項目の一部を確認する
- 指導監督基準や重大事故の防止について巡回支援を行う
自治体区分別の立入調査実施率は、次の通りです(2 立入調査結果及び指導状況-p.6)。
- 都道府県合計:59.4%
- 指定都市合計:79.8%
- 中核市合計:81.7%
- 児童相談所設置市合計:32.0%
自治体区分によって施設数や施設の種類、調査方法が異なるため、実施率だけで自治体の対応を優劣評価することはできません。
基準に適合していない主な項目は「安全確保への配慮」
原資料では、立入調査などを通じて、指導監督基準に適合していない主な項目も整理されています((3)指導監督基準に適合していない主な項目-p.7)。
各施設区分で共通して上位に挙がったのは、「安全確保への配慮」です。そのほか、非常災害に備えた計画や訓練、施設・サービス内容の掲示、契約内容の書面交付、健康診断などが挙げられています。
以下の数字は、原資料が示す各項目の該当施設数です。事故件数や、施設全体の危険度を示す数字ではありません。また、1施設で複数の項目が該当している可能性があるため、項目ごとの数字を合計して施設数を算出することはできません。
ベビーホテル
| 主な項目 | 該当施設数 |
| 安全確保への配慮 | 147か所 |
| 非常災害に対する具体的計画(消防計画)の策定・訓練の実施 | 107か所 |
| 施設及びサービスに関する内容の掲示 | 86か所 |
| サービス利用者に対する契約内容の書面による交付 | 59か所 |
| 乳幼児の健康診断 | 58か所 |
事業所内保育施設
| 主な項目 | 該当施設数 |
| 安全確保への配慮 | 342か所 |
| 非常災害に対する具体的計画(消防計画)の策定・訓練の実施 | 198か所 |
| 施設及びサービスに関する内容の掲示 | 191か所 |
| サービス利用者に対する契約内容の書面による交付 | 137か所 |
| 乳幼児の健康診断 | 127か所 |
認可外の居宅訪問型保育事業
| 主な項目 | 該当施設数 |
| 安全確保への配慮 | 408か所 |
| 施設及びサービスに関する内容の掲示 | 210か所 |
| 職員の健康診断 | 155か所 |
| 保育に従事する者の保育姿勢等 | 127か所 |
| サービス利用者に対する契約内容の書面による交付 | 123か所 |
その他の認可外保育施設
| 主な項目 | 該当施設数 |
| 安全確保への配慮 | 336か所 |
| 非常災害に対する具体的計画(消防計画)の策定・訓練の実施 | 236か所 |
| 施設及びサービスに関する内容の掲示 | 217か所 |
| 乳幼児の健康診断の実施 | 166か所 |
| サービス利用者に対する契約内容の書面による交付 | 132か所 |
施設選びで確認したいポイント
今回の資料は、利用者向けの施設選びチェックリストではありません。
ただし、指導監督基準に適合していない主な項目は、施設を利用する前に確認したい点を考える際の参考になります。
例えば、次のような点です。
- 施設やサービスの内容が分かりやすく掲示されているか
- 契約内容や料金、保育時間などが書面で示されているか
- 安全管理や事故発生時の対応について説明を受けられるか
- 災害時の計画や訓練について確認できるか
- 乳幼児や職員の健康診断が適切に行われているか
実際の運営状況は施設ごとに異なります。利用を検討する際は、自治体が公表する施設情報や指導監督に関する情報を確認し、必要に応じて施設にも問い合わせることが大切です。
なお、自治体によって公表している情報の種類や範囲は異なる場合があります。
まとめ
2025年3月31日時点で、届出対象の認可外保育施設は全国に20,068か所あり、就学前児童の入所児童数は208,811人でした。小学校就学児も8,481人が利用しています(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1)。
認可外保育施設には、事業所内保育、居宅訪問型保育、夜間保育、宿泊保育など、さまざまな形態があります。認可外であることだけで、施設の保育内容や安全性を一律に判断することはできません(令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ-p.1、<参考1>ベビーホテルについて-p.8、<参考2>企業主導型保育事業を行う施設について-p.9)。
一方、令和6年度の立入調査実施率は65.3%で、施設区分や自治体によって差がありました。立入調査が行われていない場合でも、書類提出による確認や巡回支援、認可外の居宅訪問型保育事業への集団指導が行われている場合があります(Ⅱ 届出対象施設に対する立入調査の状況-p.5、2 立入調査結果及び指導状況-p.6)。
指導監督基準に適合していない主な項目としては、安全確保、災害対策、施設情報の掲示、契約内容の書面交付、健康診断などが挙げられました((3)指導監督基準に適合していない主な項目-p.7)。
認可外保育施設を検討する際は、「認可外」という名称だけで判断するのではなく、保育環境や安全管理、契約内容、施設からの説明、自治体による確認状況などを個別に確認することが重要です。
※本記事は、こども家庭庁「令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」をもとに作成しています。数値の基準日は2025年3月31日です。20,068か所、208,811人などの数値は届出対象施設に限った集計であり、その後の施設の新設・廃止・認可施設への移行などは反映していません。

